IR誘致にブローカー暗躍 違法資金移動の解明がカギ 秋元議員周辺捜査

“カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐる中国企業側による外為法違反事件に絡み、自民党の秋元司衆院議員(48)=東京15区=周辺への東京地検特捜部の捜査が進んでいる。捜査線上には、違法な資金移動に関与した疑いがあるとして、中国企業と秋元氏側の間を暗躍していた男性コンサルタントの存在が浮上。IR参入をめぐり中国資本と政治家をつなぐ「ブローカー」(関係者)の果たした役割が事件のカギを握りそうだ。 ■6年ぶりの捜索  今月19日、東京都千代田区の衆院議員会館にある秋元氏の事務所へ特捜部の係官が家宅捜索に入った。議員会館内での特捜部による捜索は、平成25年の医療法人「徳洲会」グループによる公職選挙法違反事件での徳田毅衆院議員(当時)の事務所以来、6年ぶりだ。  容疑は日本国内でのIR参入を目指していた中国企業側が、現金数百万円を税関に無届けで国内へ持ち込んだとされる外為法違反。  特捜部はこれに先立つ今月7~8日、この事件の関係先として、秋元氏の事務所に長年勤めた元政策秘書らの自宅などを捜索。秋元氏は29年8月から昨年10月まで内閣府副大臣としてIRを担当しており、特捜部は中国企業側と秋元氏側との関係性や、不透明な資金異動との関連について慎重に調べている。 ■「日中友好協会」  きっかけは29年2月に設立された「沖縄県日中友好協会」。程永華前駐日中国大使ら約250人を集めて設立記念パーティーが開かれ、事務局長を名乗る日本人男性は自身のSNSに、こう書き込んだ。「僕たち主催でビジネス主体の日中友好協会を設立しました」  男性は沖縄や中国、タイなど国内外で活動する自称経営コンサルタント。半年後の8月、男性が実質的に運営したIR誘致に関するシンポジウムが那覇市で開催され、そこで登壇して講演を行ったのが、中国企業のトップと秋元氏だった。 男性は沖縄県内の人脈を通じ、秋元氏の元政策秘書と接触したとみられる。協会幹部は「協会はIRと一切関係ないのに、うまく使って中国企業と秋元氏に近づいたのだろう」と話す。だが翁長(おなが)雄志知事(当時)がIR誘致に反対を表明。別の関係者は「もともと沖縄での実現可能性は低く、彼はいわゆるブローカーのたぐい」との見方を示す。 ■中国本社を訪問  次に目を付けたのが北海道留寿都(るすつ)村だった。ここでは、スキー場や遊園地を備えた大型リゾート施設を札幌市内の観光会社が運営しており、人気の観光地となっていた。男性は同年8月以降、中国企業の「役員」の名刺で村を訪問。十数回も訪ねて村の幹部の信用を得るなどし、翌年の30年1月には村での中国企業の投資表明にこぎつけた。業界では「中国資本が唐突に留寿都を狙ってきたので不思議だった」(関係者)と受け止められた。  道庁内では、高橋はるみ知事(当時)が留寿都でのIR誘致に一時、前向きだったという。自治体が小規模で議会に大きな反対がない上、もともとの知人で手堅い経営で知られる、この観光会社代表を信頼していたからだ。男性の関係者は「村が観光会社代表に頭が上がらないことに目を付け、話をまとめた」と振り返る。  一方、秋元氏とも距離を詰めていく。29年11月には副大臣を務めていた国土交通省の執務室を中国企業幹部らと訪問。12月には今度は秋元氏が企業側が準備した航空機で広東省深●(=土へんに川)の中国企業本社を訪れた。費用は秋元氏側が負担したという。30年2月、秋元氏は留寿都村のリゾート施設へ家族で旅行した。  だが、国はIRについて、「国際競争力」を重視することや、単独事業者による方針を示し、留寿都村での誘致は困難に。高橋知事は今年4月、優先候補地を苫小牧市とすることを明らかにした。インターネット上でのスポーツくじが主力事業で、カジノ運営の経験がない中国企業にとって唯一の足がかりだったとみられる男性のロビー活動は成就しなかった。  北海道のIR関係者は「何度も足を運んだのは不動産取引も含めた自分のビジネスのためであって結局、どこまで地元のためにIRを実現しようとしたのか疑問だ」と話す。  特捜部は男性から既に任意聴取しており、国内に持ち込まれた現金が秋元氏側に流れた可能性がないか慎重に調べている。”